本ページは産業技術総合研究所(AIST)の解説記事です。
自身が独立行政法人に転職し、また知人の独立行政法人への転職をサポートしたことがあるモリモトが、転職者の目線になって「こういう情報は知っておくべき」と思った内容を厳選しています。
全て法人や所管省庁が公開している情報に基づいていますので信憑性はもちろんのこと、表面的な情報だけではなく内部にしっかりと踏み込んだ内容に仕上げています。
国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST)への転職を考えている方はぜひ一読ください。
産業技術総合研究所(AIST)の概要
産業技術総合研究所(AIST)は、産業技術に関わる研究を事業として実施している独立行政法人(国立研究開発法人)です。日本に3つしかない特定国立研究開発法人であり、まさに日本のトップレベル研究所であると言えます。
その役割は鉱工業等の研究開発、技術指導及び成果普及、技術経営力の教科に視する人材育成、以上の3つに大別することができます。
法人名(略称) | 国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST、産総研) |
所管省庁 | 経済産業省 |
所在地 | 東京都千代田区霞が関一丁目3番1号 |
拠点 | 東京都、茨城県、北海道、宮城県、福島県、千葉県、福井県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、佐賀県 |
資本金 | 2,780億円(令和5年3月31日現在) |
職員数 | 2,865人(令和5年7月現在) |
理事長 | 石村 和彦 |
設立年月日 | 平成13年4月1日 |
オフィシャルサイト | https://www.aist.go.jp/ |
産業技術総合研究所(AIST)の待遇
待遇について、年収(給与・賞与)と所定労働時間・平均残業時間・休日休暇を見てみましょう。
年収(給与・ボーナス)
平均年収総額[うち賞与]* | 708.6万円[190.3万円] |
モデル給与:35歳(主査) | 560.9万円 |
ラスパイレス指数(年齢・地域・学歴勘案)* | 100.1 |
出典:令和4年度役職員の報酬及び給与等の公表について
平均年収は平均年齢によってぶれるのであまりあてになりません。モデル給与のほうが的確な金額です。
ラスパイレス指数というのは国家公務員に対して給与水準の高低を計る指標です。国家公務員とほぼ同水準で給与が貰えますね。
所定労働時間・月平均残業時間・休日休暇
所定労働時間 | 7時間45分 |
月平均残業時間 | 20.4時間(2021年度実績) |
休日休暇 | 完全週休二日、祝日、年末年始、年次有給休暇(初年度から20日)、病気休暇、特別休暇(夏季、育児、結婚、出産、忌引等)、育児休業制度、介護休業制度あり |
出典:国立研究開発法人産業技術総合研究所職員就業規則, 国立研究開発法人産業技術総合研究所の採用情報(初任給/従業員/福利厚生)|リクナビ2024
日本の産業技術を研究するトップレベルの研究所ですが、労働環境は激務でもなく超暇でもなく、いたって普通ですね。
産業技術総合研究所(AIST)への転職対策
転職対策として、独立行政法人であれば絶対に公開している中長期目標、業務実績等報告書をベースに情報収集を行いましょう。転職先のことをろくに調べずに応募しても落ちるだけですが、これらを読めば法人とその業界について十分な情報が得られます。
これらはいずれもちょっと読み方にコツがいります。以下の記事にて読み方を紹介しています。
理解しておくべき法人の情報
中長期目標の内容を少しだけ取り上げます。
産業技術総合研究所(AIST)は取り組むべき業務について次のような課題認識および取り組みを行うことを示しています。
近年、我が国は、エネルギー・環境制約、少子高齢化、防災、新型コロナウイルス 感染症対策など、様々な社会課題に直面しており、その解決が強く求められている。 世界を見れば、IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)等の技術開発や社会実装を通じ て、社会のあらゆる場面にデジタル化が波及していくという大きな変革が起こりつつある。
第5期中長期目標:https://www.aist.go.jp/Portals/0/resource_images/aist_j/outline/middle_target/chutyoukimokuhyou5_rev2.pdf
このような状況において、産業技術・イノベーション政策を進めるうえで、社会課 題の解決に向けた取組とビジネスモデルの刷新等による経済成長に向けた取組をバ ランスよく進めるという、これまで以上に困難なかじ取りが求められる。しかし「課 題先進国」といわれる我が国が、これを世界に先んじて強力に推進し、将来に向けた 具体的な道筋を示すことができれば、持続可能な社会の実現を達成しつつ産業競争力 の強化を図るという世界に誇れる「強み」を持つ国となる。
このような課題に対し、どのような方法で取り組んでいこうとしているかという詳細は、ぜひ本文をご確認ください。
理解しておくべき周辺情報
同じく中期目標で触れられている以下の法律、政府方針については名前と概要だけでもチェックしておくと良いでしょう。
これらの知識があると法人への理解に深みがでます。面接での受け答えでそれとなく知識を活用することで、あなたの志望度のアピールにつながること間違いなしです。
チェックすべき転職サイト
過去に国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST)の求人情報が掲載されていた転職サイトは次の通りです。
オフィシャルサイトと合わせて確認するようにしましょう。
また、転職を有利に進める武器として、エージェントを活用することも重要です。
エージェント経由で直接独法への転職ができるわけではありませんが、転職の基本ノウハウの習得や職務経歴書の添削、模擬面接など受けられるサービスは山盛りです。
モリモトのお薦めはリクルートエージェントとJAC Recruitmentの2社です。いずれも無料で上記のサービスを受けることができます。
国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST)のおすすめポイント
モリモトが産業技術総合研究所(AIST)についておすすめするポイントは、理系出身であれば多くの方が転職できる可能性が十分にあることです。
令和4年度役職員の報酬及び給与等の公表についてを元に読み解いていきましょう。
まず、事務・技術職員について、「高度な研究成果について(略)、専門知識を有した有能な人材(略)が必要となっている」とあります。
これは間違いなく大学の研究室で研究を行った理系人材のことを指しているでしょう。
それを裏付ける証拠として、産総研採用者(総合職)は大学院卒の比率が過去5年で平均44%と極めて高いです。理系とは名言されていませんが、まあこれは理系修士だと思うことが自然でしょう。
ちなみに、常勤職員の事務・技術職員(≠研究職種)の人員は468人、採用者は過去5年で20ー30人とそれなりのボリュームがあります。門戸が狭いというわけでもなさそうです。
国立研究開発法人のみならず、独立行政法人全体としても多いほうですね。
ちなみに、産業技術総合研究所(AIST)は鉱工業の科学技術に関する研究及び開発を行うとされていますが、実際はかなり幅広く、生命工学や情報通信・エレクトロニクスやライフサイエンスも取り扱っています。
研究成果に関する情報は産総研:研究成果記事一覧というページに載っているので見てみましょう。
以上のことから、どんなバックグラウンドの理系人材であっても、専門知識を有する人材として総合職に転職しで活躍できる可能性があるのです。
理系が活躍できそうな国立研究開発法人は他にもありますが、トップレベルの研究所であり、この技術領域の広さと人員規模を兼ね備えている法人は他にはありません。
まとめ
日本を代表するトップレベルの研究所で、日本の経済及び産業の発展に貢献する。
しかも仕事は激務ではないが、あなたの専門知識を発揮することができる。
産業技術総合研究所(AIST)で働くということは、まさに今の若手世代が仕事に求めているやりがいと、独立行政法人としてのまったり感を完璧なバランスで両立するということかもしれません。
あなたもぜひ転職を成功させ、素晴らしい独法暮らしの日々を手に入れませんか。モリモトは応援しています。
以上
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